いつかパラソルの下で

私がその本を初めて読んだのはいつだったか。やや詳細な性描写にたじたじとしながら、ふわふわと生きる主人公を見ながら、大人ってなんなんだろうなと読み終わった後ももやもやしていた。前に読んだ本の方が面白いかもしれないとまだ学生だった頃の私は思ったのだった。
その本をもう一度読む頃、私は末っ子の花と同じ23歳になっていた。パワーストーン、絶倫、イカイカ祭り。内容なんだったっけと思いながらも覚えている単語が出てくる。でも覚えてないところに私の探していたものがあったような気がした。いつ買ったんだと出版日を見ようとした時にパールコートの裏表紙が青く光った。その本は面白かったのだ。自分が大人になったとか変わったとか思っていなかっただけにその事実が衝撃的だった。一時凌ぎの至福が理解できる、主人公の判断に納得ができる、軽薄だとだけ思っていた人間関係をそうじゃないと思う。自分は年相応に大人になっているとは思わないが2年後には主人公と、5年後にはその兄と同じ年になる。

いつかパラソルの下で

いつかパラソルの下で